事業の展望

世界中においしい笑顔を届け、
日本と世界の食文化の融合に挑む。

Profile
1988年入社。東京、北海道の営業担当や販売企画、スパイスの製品開発・GABAN社との業務提携、さらに成長初期の中国事業の推進や新規事業開発部の立ち上げなど様々なキャリアを経験。米国現地法人の社長を務めた後、2020年国際事業本部長に就任。

7ヶ国から世界へ発信

海外の食文化に挑み、ハウス食品グループの成長をけん引する

ハウス食品の国際事業部では、狭義と広義でミッションを捉えています。
まず狭義では、「グループの成長をリーディングする収益ドライバー」として成長が求められています。国内事業の環境は、人口や調理時間の減少(外部化)等、これまでの我々の強みが発揮しにくくなっていますが、海外では成長ステージの国が多く、強みを活かしたビジネスチャンスが無限にあります。このチャンスに挑み、確実に成果につなげていくことが、グループとしての成長に直結しています。

ハウスの技術とDNAで、世界の食卓の幸せを実現する

そして広義では、「ハウスグループの技術で世界に美味しい笑顔を届ける」ことが求められています。日本が戦後、世界の食文化を取り入れて食生活が急速に豊かになったように、海外でも我々の技術やマーケティングでお役に立てることが多いと考えています。当社が日本で培った、ジャパンクオリティとアイデアで更に豊かに提案することが、我々に求められている使命だと考えています。
象徴的な事例は、アメリカでの豆腐事業です。皆さん意外に思われるかもしれませんが、最も歴史があり売上高の大きい海外事業は、米国の豆腐事業なのです。当時はアメリカンマーケットには取り扱いさえなかった豆腐ですが、健康意識の高いベジタリアンのアメリカ人に(木綿豆腐より)硬い豆腐や、アメリカ人が好みそうな食べ方提案を積極的に展開したところ、調理食材として徐々に浸透していきました。近年では「食肉に代わる良質な植物性タンパク食品であるTofu」として、大変注目を浴び、今では販売構成比としてアメリカン・メインストリームが最大のマーケットとなっています。日本で豆腐事業は展開していませんが、日本と当該国の食文化を融合させ、新たな価値を創出させる当社の強みを紹介する好事例と言えるでしょう。

真のグローバルカンパニーとして、世界の人々に価値を提供し続けるために

我々の海外事業戦略はアメリカでは豆腐、中国ではカレー、タイでは機能性飲料といったように、展開国の課題解決やビジネスチャンスを捉えて、異なる複数のビジネスを展開することを特徴としており、統一目標は設定していません。ハウス食品グループが真のグローバルカンパニーを目指そうとしている今、海外売上&利益のグループ内構成比が50%を超えることが目下のゴールです。もちろんこの数値目標は、我々の提供サービスの価値が評価されて初めて実現できることです。海外で役立つためには言語や各種ビジネススキルが必要であり、また日本のように組織や役割が充実していないため、複数の役割求められることになります。ビジネススキル向上は時間や経験が解決しますが、実は最も大事な素養は現地の文化を深く理解し、リスペクトできるか?だと思っています。海外文化をニュートラルに捉え、現地の課題や悩みを掴んでいくことが重要です。

現場の活躍を知る

カレーライスのファンを増やし、
多くの人にそのカレーの価値を
伝えていきたい。

Profile
2011年入社。大阪支店に配属となり、家庭用製品の営業に従事。2015年、社内のグローバル人材育成プログラムの一環である「新興国チャレンジ」に自ら志願し、インドネシアの現地企業における業務を経験。その後2016年、国際事業開発部貿易課に所属となり、オーストラリアを中心とするオセアニア諸国の営業を担当。※2017年4月現在

国内市場で培ってきたノウハウを、海外で活かしたい。

ハウス食品がこれまで国内市場で培ってきた「おいしさ」や「品質」は、異なる市場環境にある海外においてもその存在意義を発揮できるチャンスがあると考え、海外での事業に携わりたいと思うようになりました。社内のグローバル人材育成プログラムの一環である「新興国チャレンジ」に応募しました。そのプログラムでは、インドネシアの農家の所得向上を目的とした事業活動を本業とする現地企業に所属し、半年間さまざまな業務を経験しました。現在、オーストラリアを中心とするオセアニア諸国の営業担当として、お客様に対して製品やメニューの提案を行っています。日本のカレーライスを食べる機会の少ない現地の方に、どうしたら食べて頂けるのか、お客様の生活スタイルに、どうアプローチすれば響くのか。これまでの考え方にとらわれない新しい発想、クリエイティブな発想が求められます。

お客様との信頼関係を築きながら、提案のヒントを探る。

当初は国内と海外の商売環境の違いに苦労しました。海外のあるお得意先に製品を試食して頂いた際、「おいしいから、すぐに欲しい」と言われたものの、国内とは異なり製品が届くのが2カ月先だったこともあります。一方で国内の営業同様、海外においても、やはりお客様との信頼関係を築くことが重要です。現地に足を運んで、自分の目で見て、お得意先とのコミュニケーションの中で引き出した情報を提案に活かしています。例えば、オーストラリアでは、グルテンフリーがトレンドです。あるレストランでは一番人気のカレーライスのルウにグルテンが含まれていたため、グルテンフリーを求めるお客様に提供できませんでした。アレルギー対応の新製品は小麦が使われていないことに気づき、すぐにサンプルを送ったことで、それがメニュー化され、2号店でも採用されました。オーナーから「おかげで、これまでお断りしていたお客様にも食べてもらえるようになった」と喜ばれ、初めて手応えを感じました。

カレーライスのファンを増やし、多くの人にその価値を伝えていきたい。

今、オーストラリアには持ち帰りの巻き寿司店が多く、サーモンやカツが入った巻き寿司を公園などで食べる姿をよく見かけます。オーストラリアの人にとって日本といえば寿司ですが、日本のカレーライスを食べると、こんなおいしいものもあるんだと驚いてくれます。冬場の冷え込む季節に、巻き寿司の代わりに持ち帰りの温かいカレーライスを出せば、お客様も喜ぶはず。簡単にカレーを作って出せるような環境をつくれば、もっと広がっていく可能性があります。こうした接点をつくって、どんどんファンを増やし、一人でも多くの人に日本のカレーライスの価値を伝えていきたいと思います。日本のカレーがオーストラリアの人々に浸透するまで、10年、20年かかるかもしれません。でも、そうやって将来のことを見据えながら、今できる仕事を一歩一歩進めていくことは楽しいし、とてもやりがいを感じます。“カレーライスを食べに行こう”と、みんなに言ってもらえるようになる日を夢見て、チャレンジしていきます。